子ども被災者支援法の基本方針が8月30日に公表されたのを受け、福島や宮城、千葉などの住民らが復興庁を訪問し、基本方針の撤回と住民のご意見を反映した策定を行うよう求めた。
申し入れを行ったのは、「子ども・被災者支援法市民会議」。当初は、参議院会館で、復興庁の担当職員が同席のもと、署名の提出と基本方針に関する説明が行われる予定だったが、担当者が多忙との理由で、予定は当日キャンセルとなった。このため、参議院議員会館では、署名提出だけが行われた。
宮城県丸森町、福島県会津若松、千葉県のホットスポットから被災者らはそれぞれ「なぜ丸森が支援対象地域に含まれないのか」。「住民のご意見を聞いて基本方針を策定して欲しい」
訴え、1週間で集まった3000筆あまりの署名を手渡した。
その後、被災者らは復興庁を訪問。3月に公表された「被災者支援パッケージ」の作成にも携わった法制班の金澤直樹企画官担当者が基本方針に関する質問に回答した。
基本方針案を策定するにあたって、被災者の声をどのように反映したのかという質問に対して、金澤企画官は「市民団体主催の集会に出席したり、各団体から要請書を受け取った。」と回答。特にニーズが高かった避難者への住宅支援、県外での健康対応を反映させたという。また、「支援対象地域」を福島県内33市町村とした根拠については、自主的避難者の数や不安の度合いによって決めたと述べた。
要のはずの「支援対象地域」政策、骨抜きか?
被災者からは、「子ども・被災者支援法」の要である「支援対象地域」を対象した施策は何があるのか?といった質問も出た。これに対し、金澤企画官は、「子ども元気復活交付金」と「公営住宅の入居の円滑化」の2つと、宮城県丸森町も含まれるとしながら「母子避難者のための高速道路無料化」を挙げた。
「子ども元気復活交付金」は、原発事故の影響により人口が流出している地域を対象にして、全天候型運動施設等の整備や、プレイリーダーの養成などのソフト事業の実施を支援するほか、県外避難している人が県内に帰還できるよう住宅支援を行うものだ。今年2月に 、帰還定住政策の中で公表された。「人口流出している地域」が、支援対象地域と重なるとの説明だ。
また、「公営住宅の入居の円滑化」は、支援対象地域からの避難者については、県内に住宅があっても、他の地域の公営住宅に入居を可能にするという内容だ。ただ、優先的な入居の保障や、家賃補助を含めた経済的な措置は一切ない。
基本方針を不服とした被災者側からは、意見を反映させる「パブリックコメントの期間が2週間というのは短い」といった指摘や「全国各地で説明会を開くべきだ」といった要望が相次いだ。しかし、これに関しても、金澤企画官は、9月13日までのパブコメ期間中に、福島県内で説明会を開催すると回答するに留まった。福島県内での説明会の会場や日程はまだ決まっていない。
(復興庁の発表資料からOurPlanetTVが作成。◎は、左から、2013年3月15日に支援パッケージとして公表されたもの、8月30日に支援法基本方針の事業として公表されたもの、支援対象地域のみを対象とした事業)
パブリックコメントの募集(9月13日締め切り)
http://www.reconstruction.go.jp/topics/m13/08/20130830101245.html