原子力規制委員会の福島原発事故による住民の健康管理のあり方に関する検討チームは6日、第2回目の会合を開催した。福島県医師会の木田光一副会長は、住民の健康管理のあり方について、原発事故子ども・被災者支援法を軸にし、県ではなく国の直轄で実施することや、先日来日した国連のアナンド・グローバー氏の報告を重く受け止め反映させるべきだと訴えた。
福島県医師会の木田副会長は、「住民の健康管理のあり方」について、何のために誰のために実施するのかという「目的・理念」が抜け落ちていると批判。原発事故子ども・被災者支援法を軸にすべきとの考えを示した。また、福島県が実施している県民健康管理調査については、基本調査問診表の回答率が23%と低く、福島県民200万人のうち、被ばく状況の結果通知を終えている県民が6%程度にすぎないとして、県による健康調査には限界であると説明。健康調査の結果に関しては、住民自身が常に把握できるように、WEBでの閲覧や被ばく手帳の交付などを行い改善すべきだと要望した。
このほか、安定ヨウ素剤の事前配布や、県内の医療従事者不足への対応、乳幼児の屋内運動施設の拡大、さらに短期雇用の原発作業員に対して、長期的な健康モニタリングやメンタルヘルス対策をすることなどを求めた。木田副会長は、国連人権員会の「健康に対する権利に関する特別報告者」として来日していたアナンド・ グローバー氏の声明を配布。グローバー氏の声明を重く受け止め、12月末に出される予定の検討チームの提言に、盛り込むべきだと訴えた。
こうした主張に対して、規制委の中村委員は検討する方針だが、アナンド・グローバー氏の報告に関しては、「情報は把握しているが、法的なしばりは全くない」と検討チームでは、一切反映させない方針を明言した。アナンド・グローバー氏の最終報告書は、来年6月に国連人権理事会に提出される予定だ。
当日配布資料
東京電力福島第一原子力発電所事故による住民の健康管理のあり方に関する検討チーム
http://www.nsr.go.jp/committee/yuushikisya/kenko_kanri/20121206.html
関連番組
2012年11月26日配信「年間20ミリの避難基準を非難~国連報告者」
http://bit.ly/XVmeVH