経済産業省原子力安全・保安院は3日、全国の原子力発電所周辺の断層状の亀裂「破砕帯」について、専門家からの意見聴取会を開いた。当初は、福井県にある大飯原子力発電所の敷地内の破砕帯について審議する予定だったが、関西電力が保安院に十分な資料を提出しなかったため、2日前に審議延期を決定。審議は2週間後に延期された。
大飯原発の資料がなく、審議が先送りされたことに対し、産業技術総合研究所の杉山雄一委員は、「大飯の情報が全く出ていないのは、理解できない」と批判。また、この日の意見聴取会では、福井県美浜町にある美浜原発や、福井県敦賀市にある高速増殖炉もんじゅについて、敷地内を通る断層が、近くの活断層と連動する恐れがあるとして、再調査をする考えを示した。
保安院耐震安全審査室の小林勝室長は、意見聴取会後にメディアの取材を受け、大飯原発の審議をしなかったことについて、「関電からの資料が十分揃っていない」と急遽、議題から外した経緯を説明。また、この日の意見聴取会で、市民の傍聴が別室に変更されたことについては、「参加者の事前申し込みリストを見て、警備上の理由から判断した」と話した。
大飯原発の破砕帯(断層)の審議については、およそ2週間後に開催される次回の意見聴取会で扱う予定だ。大飯原発4号機の原子炉起動は7月17日~23日の間に行われる見通しなため、関西電力が資料の提出を引き延ばしているのではないかとの声もあがっている。