福島第一原子力発電所の事故をめぐり、東京電力が巨額の損失を受けたのは、経営陣が安全対策を怠ってきたためだとして、東京電力の個人株主らは5日、事故当時の経営陣などに約5兆5億円の賠償を求める株主代表訴訟を、東京地方裁判所に起こした。
訴えを起こしたのは、福島県在住の個人株主4人を含む東京電力の株主42人。原告は「福島第一原発の事故は、経営陣が津波や地震に対する安全対策を怠ってきたために起きた」として、政府の委員会が巨大地震が起きる危険性を指摘した2002年(平成14年)以降の東京電力の役員ら27人に対し、賠償請求を求めたもの。5兆5045億円という損害賠償額は、会社の第三者委員会の報告に基づいて計算したもので、株主たちは事故の被害者への賠償金に充てるよう求めている。
原告弁護団の河合弘之弁護士は「日本では、経営者個人の責任を追及しなければ会社の体質は変わらない。裁判を通じて原発業界の集団無責任体制を是正したい」としたうえで、「東電の役員は誰1人として、社会的、法的、経済的責任をとっておらず、原発被災者の強いられている苦難と比べ、あまりにもアンバランス」と訴えた。