2011/10/02 - 15:10

「アラブの春」NY版〜ウォールストリートを若者が占拠

映像:タハラレイコ(映像作家=NY在住)
 
今、米ニューヨークでは、若者らによる大きな抗議運動が広がっている。抗議活動の名前は「Occupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ)」。反政府デモが広がった中東の「アラブの春」にならい9月17日に呼びかけられたもので、数百人が公園を占拠し、失業問題の解決などを求めている。
 
映像作家タハラレイコさんの報告によると、この抗議活動は、オバマ大統領が富裕層への課税を押し進める一方で高齢者や貧困層への医療保険、教育などの大幅予算カットを提案したことに対し、若者の不満が爆発したもの。警察がウォール街を封鎖したものの、今も公園でキャンプアウト(座り込みと占拠)が続いており、毎日、数百人が参加している。
 
スローガンは「ウォール街は僕らの通り」「アメリカはコーポレーションじゃない」「国外の戦争をやめて、国内の階級間の戦いを」「オバマ、約束果たせ、このままじゃ負けるぞ」など。高学歴失業者問題が表面化する中、アラブの春と連動して、ニューヨークにも革命をとネットで呼びかけているという。
 
3000平方メートルほどの広さのズコティ公園(通称リバティープラザ)には、メディアステーション(メディアセンター)、キャンプステーション(宿泊場所)、フードステーション(食事の場所)、プラカード置き場/見せ場、インフォメーションブースなどが設置されており、ヨガをしたり、思い思いに過ごしているという。
毎晩7時から全体ミーティングが開かれており、数々のコミュニティからの報告が行われている。
  
ユニークなのは、9月下旬に、”メガホンを使った”という理由でスピーカーの一人が逮捕されたため、メガホンの代わりに、スピーカーの言った一語一句を、参加者がみんなで復唱することで、遠くの人に伝える”やまびこ”方式が行われていることだ。よく聞こえなかったり、”やまびこ”の声が小さかったりすると、”マイクチェック”と何人もが叫び、その後また声が大きくなる。
  
「Occupy Wall Street」は、上下のない、ゆるい連帯を目指しており、リーダーはいない。敢えて統制をとることをしないため、全体ミーティングの最中にも、公園の別の場所では、即興ジャズ演奏が行われ、それに合わせて踊る人々もいる。また、暴力は絶対に使わない平和的な運動を掲げており、催涙ガスをかけられても絶対に非暴力を貫こうと呼びかけている。
 
しかし10月1日(現地時間)には、ブルックリンブリッジを渡るのデモ行進中、400人が逮捕された。ニューヨークタイムズによると、警察が行進している人を車道に誘導し、車道に出た参加者をオレンジネットで囲って次々に逮捕したという。
 
一連の活動に対し、映画監督のマイケル・ムーア氏や女優スーザン・サランドンさんも賛同を示しているほか、教員らでつくる労働組合なども支持を表明している。
  
なお、「Occupy Wall Street」では、メディアセンターを設置しており、ライブ中継をはじめ、様々な映像、文章を随時発信している。
 
Occupy Wall Street(ウォール街を占拠せよ)
https://occupywallst.org/
 

 

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