福島第一原子力発電所の事故を受け、9月19日、作家の大江健三郎さんらの呼びかけで、脱原発を訴えた「さようなら」原発集会とデモが東京・明治公園で開催され、約6万人(主催者発表)が参加、脱原発を訴えるアクションでは過去最大規模のものとなった。
主催したのは、「さようなら原発」一千万人署名市民の会で、呼びかけ人は、作家の大江健三郎さんや、ルポライターの鎌田慧さん、落合恵子さんら9人。福島県からも、市民が長距離バスでかけつけ、集会開始の午後1時30分には、会場となった明治公園は人でいっぱいになった。
ステージ上では、鎌田慧さん、大江健三郎さん、内橋克人さん、落合恵子さん、澤地久枝さん、フーベルト・ヴァイガーさん(FoEドイツ代表)、山本太郎さん、武藤類子さん(ハイロアクション福島原発40年実行委員会)が脱原発のメッセージを訴えた。
福島県三春町から参加したハイロアクションの武藤類子さんは、現在の福島の状況について、「目には見えない放射能が降り注ぎ、私たちは被曝者となりました。すばやく張り巡らされた安全キャンペーンと不安のはざまで引き裂かれていく人と人のつながり。毎日毎日、いやおうなく迫られる決断。『逃げる、逃げない』『食べる、食べない』『子どもにマスクをさせる、させない』『洗濯物を外に干す、干さない』『何かに物申す、黙る』様々な苦渋な選択がありました」と語り、政府交渉、疎開裁判、避難、保養、除染、測定など福島県の人々の起こすアクションに注目して欲しいと訴えた。
14時すぎには、集まった人々が3つのコースに分かれ、デモ行進を行い、楽器を演奏したり、プラカードを掲げながら、「原発はいらない!」「原発の再稼動をするな!」などと訴えた。
小学3年生と6年生の子どもがいる福島市から来た男性は、「東電と国の方から動いてもらって、福島県の子どもは全部避難させてもらいたい」と話した。ハイロアクションの大賀あや子さんは、「これだけ大きなデモだと避難している人やいろんな立場の人もニュースで知ると思うので、手をつないでいきたい」と期待をこめて話した。
デモに参加していたドイツ文学翻訳家の池田香代子さんは、「今回の行動は1000万人署名のキックオフという位置づけで、盛り上がって満足して終わりではなくて、署名1000万人超すぞというようなので、いいなと思う」と、現在、全国で集められている1000万人署名について呼びかけた。
デモへ参加した理由について、微力でも行動しなければならないと思ったと話す男性は、福島県新地町から親子でバスで東京に来たといい、「子どもたちを外で遊ばせられない。かわいそうなことをしている。これをきっかけに脱原発したい思いが強い」と訴え、6万人の人々が集まったことに関して、「すごいパワーをもらった。来て良かった」と話した。
脱原発を実現し、自然エネルギー中心の社会を求める1000万人署名は、野田佳彦首相などに提出される予定で、第1次締め切りは9月10日、第2次締め切りは12月20日、第3次締め切りは2012年2月28日となっている。
「さようなら原発」集会映像
発言
鎌田慧さん、大江健三郎さん、内橋克人さん、 落合恵子さん
澤地久枝さん、フーベルト・ヴァイガーさん(FoEドイツ代表)
山本太郎さん、武藤類子さん(ハイロアクション福島原発40年実行委員会)
関連リンク
さようなら原発1000万人アクション
http://sayonara-nukes.org
1000万人署名~脱原発を実現し、自然エネルギー中心の社会を求める全国署名
http://sayonara-nukes.org/shomei