1988年から消費者として東電本社との交渉を継続してきた「東京電力と共に脱原発をめざす会」(共の会)は6月17日、震災直後の事故経過に関して、東京電力から事説明を受けた。質疑応答の中で、これまで東京電力が「14〜15メートル」と説明してきた津波の高さは誤りであり、実際には現在も数値が不明であること。また、電源のほとんどが津波ではなく地震で喪失している事実などが明らかになった。
「東電と共に脱原発をめざす会会(共の会)」は1988年から東京電力と交渉を開始した消費者グループ。交渉開始直後に、福島第二原発3号機で、原子炉再循環ポンプ内が破損し炉心内に多量の金属片・粉が流入した事故が起こり、以降、2ヶ月に1回程度の割合で交渉を持ち、東京電力に、原子力発電所の様々な事故に対して説明を求めて来た。本来は4月に定例会が予定されていたが、3月11日の福島第一原発事故によって延期となったため、今回が事故後初の定例会となる。
共の会からは最も追及が激しかったのは津波の高さ。東京電力はこれまで「津波の高さは14〜15メートル」と説明してきたが、気象庁の発表している津波高を基準に考えると、福島第一原発に押し寄せた津波は5メートル前後と想定されると追及。敷地内への浸水の高さを表す「浸水高」を「津波高」と混同し、政府やIAEAの報告書に記載しているとして、報告書の記載の訂正を求めた。
これに対し、東京電力の広報部原子力センターの三友正喜所長は「津波とか遡上高といった概念の差はあるだろうが、14メートルの水が来たと認識している。待って欲しい」と回答。会場からは、原発推進政策を変えないために、「想定外の津波による事故」と説明を繰り返しているのは意図的な嘘だとの声があがった。
この他、外部電源の喪失は全て地震によるものであったことや、東京電力が記者会見などで否定している地震による配管の破断もしくは損傷が起きている可能性も、市民の指摘により、次々と明らかにされた。更に、3号機の爆発が,使用済み燃料プールの即発臨界に伴う水蒸気爆発であったのではないかとの質問に対しても、明確な反論が出来ず回答を留保した。
IAEAに対する政府報告
http://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/backdrop/20110607001.html