福島第一原発事故
2011/03/25 - 21:55

【提言】乳幼児や妊婦を救え-総理に議員署名提出

福島原発事故による汚染が拡大する中、地元福島県選出の国会議員らが、避難区域を拡大することなどを求める署名に賛同し、菅直人総理大臣宛に、ファックスで提出した。
 
今回の署名に賛同したのは、地元福島県選出の国会議員ら衆参合わせて26名の国会議員。放射能汚染が強い地域に、放射能の感受性が高い乳幼児・妊婦の健康が未だ取り残されているため、乳幼児や妊婦を優先して退避させるように求めたもの。原子力資料情報室など4つの市民団体が、22日から国会議員に対して働きかけていた。

乳幼児や妊婦を救うために-国会議員の署名
  
内閣総理大臣 菅 直人 様
 
1.早急に、放射線に弱い乳幼児と妊婦を福島原発30キロ圏から避難させること
(政府の現在の指示は、20~30キロ圏内は屋内退避です)
 
2.20キロ圏内に限定された避難区域を抜本的に拡大すること
 
 福島第一原発の事故に関する、総理の避難・退避指示は、現在は下記のままです。
*第一原発から半径20キロ圏内住民の避難(3月12日18:25)
*第二原発から半径10キロ圏内住民の避難(12日17:39)
*原発から半径20~30キロ圏内住民の屋内退避(15日11:06)
  
このように、避難区域は、3月12日の20キロ圏内から拡大されていません。とりわけ心配されるのは、放射線に弱い乳幼児や妊婦達が、いまも20~30キロ圏内で屋内退避という状況にあることです。一刻も早く、この圏内の乳幼児や妊婦の避難が優先されるべきです。実際、30キロを大きく超える100km地点でも、水道水や牛乳、野菜などから放射能が検出され、汚染が深刻になってきています。
 
避難区域の拡大指示がない中で、福島第一原発では深刻な事態が継続しています。2号機の格納容器破損、3号機・4号機の使用済燃料プールでの火災発生、20日には3号機の格納容器圧力が上昇し、高濃度の放射能を放出する措置(ドライベント)が取られる寸前にまでなりました。ドライベントが実施されると、乳幼児や胎児に深刻な影響をもたらす放射性ヨウ素が、これまでの100倍も放出されます。危険が継続することを前提に、住民の安全を守る措置が急がれます。11日の事故発生以来、破壊された建屋から、また排気筒等から放射能は放出され続けています。
 
野菜等の汚染は、30キロをはるかに超えた地点でも実際に放射能が到達していることを示しています。15~16日には、約50キロ離れた福島市内でも通常の400倍の線量が確認されています。しかし政府からの避難指示がないため、学校や職場から離れることはできず、10日間もこのような状況におかれています。避難区域を狭い範囲に限定することが、避難をしたくてもできない「しばり」のような役割さえ果たしています。他方、諸外国は、日本に在住している自国民に対し80~120キロ圏内からの避難を指示しています。
 
早急に、放射線に弱い乳幼児や妊婦を30キロ圏から遠方に避難させるべきです。
さらに、避難区域を拡大すること。避難ルートの確保、受入体制等を抜本的に政策的に改善することを強く求めます。
 
署名議員
    石原洋三郎 衆(福島県選出) 太田和美 衆(福島県選出)
   有田芳生 参   横峯良郎 参   松崎公昭 衆
   又市征治 参   阿部知子 衆   中島隆利 衆
   石川知裕 衆   稲見哲男 衆    相原史乃 衆
   平山泰朗 衆   福島みずほ 参  照屋寛徳 衆
   山内徳信 参   服部良一 衆   重野安正 衆
   吉泉秀男 衆   平山 誠 参   古賀 誠 衆
   橋本べん 衆   浅野貴博 衆   大河原雅子 参
   福田衣里子 衆  吉田忠智 参   玉城デニー 衆
 
国会議員署名提起団体
原子力資料情報室 
福島老朽原発を考える会(フクロウの会)
グリーン・アクション
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会(美浜の会)

Standing Together, Creating the Future.

OurPlanet-TVは非営利の独立メディアです。視聴者の寄付を原動力に取材活動を展開しています。あなたもスポンサーとして、活動に参加してください。継続的に支援いただける方は会員にご登録ください。

※OurPlanet-TVは認定NPO法人です。寄付・会費は税額控除の対象となります。