福島第一原発事故
2017/11/16 - 15:31

「追い出し裁判は不当」山形の自主避難者が会見

東京電力福島第1原発事故後、福島県内から山形県米沢市の雇用促進住宅に自主避難した8世帯に対し、住宅を監理する独立法人が立ち退きと家賃の支払いを求める訴訟を起こしている問題で16日、訴えられた住民が記者会見を開き、裁判は不当だと訴えた。

会見を開いたのは、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(千葉市美浜区)から訴えられた住民ら3人。住民の代表・武田徹さんは、「好き好んで避難した人はいない。私たちには何の落ち度もない」と住宅支援の打ち切りを批判。家賃を払わず住み続けているのは不法占有に当たるとの法人の主張に対し、裁判は不当だと訴えた。

福島原発事故後、政府は避難指示を出さなかった地域からも3万5000人もの住民が自主避難したとされている。彼らの多くは、災害救助法に基づき、民間借り上げ住宅や公務員住宅、雇用促進住宅などが提供され、今年3月まで無償で居住することができた。しかし、今年3月末で支援が打ち切られ、多くの自主避難者が住宅費の負担増により困窮している。山形県のアンケート調査によると、7割の人が生活資金に対する不安を抱えており、訴えており、5割が住宅支援を求めている。

山形県による県内避難者へのアンケート調査結果
http://www.pref.yamagata.jp/ou/kankyoenergy/020072/fukkou/anketo/hinansy…

代理人の海渡雄一弁護士は、「国は区域外避難の合理性を認めており、しかも線量が低下していないのにも関わらず、福島県が今年3月末に自主避難者への住宅無償提供を終了したこと自体が違法である」と主張。8家族がまとまって追い出しされるのは初めて極めて不当とした上で、国連人権理事会でも原発事故における被災者政策が問題視されていると指摘。国際的な人権問題であるとの見方を示した。

中通りで生活していた女性は、経済的に非常に厳しいと涙を浮かべ、「避難先で2人の子どもを育てていくためには、家賃を支払うのは難しい。3月いっぱいの支援打ち切りは納得できない。一律の打ち切りは間違っている、支援の復活は自主避難者の願いだ」と訴えた。

裁判の第1回目の口頭弁論は11月21日午後1時半から山形地裁で開かれる。


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