福島第一原発事故
2017/06/29 - 09:16

「東電原発事故刑事裁判」はじまる〜津波対策をめぐり新証拠ぞくぞく

津波対策を怠り、福島第一原発事故を防げなかったとして、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の元幹部3人の初公判が30日、東京地裁で開かれた。強制起訴された勝俣元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の3人。勝俣会長は、「重大な事故を引きおこし、福島や広く社会の皆さんにご迷惑をおかけし、お詫びします。」と述べる一方、「事故を予見するのは不可能だった」と無罪を主張した。武黒一郎元副社長と武藤栄元副社長も同様に、お詫びの言葉をのべる一方で、起訴内容を否定した。その一方、検察役の指定弁護士は、185点にのぼる証拠を次々に示し、東電が15メートルを超える津波の襲来を予測し、防潮堤の必要性を認識しながら先延ばしにしたと指摘した。

「10メートルを超える津波予見」
「10メートルを超える津波が襲来することを予見できた。」
検察役を務める指定弁護士は冒頭陳述の中で、2度にわたり、この文字を法廷のモニターに映し出した。

指定弁護士は冒頭の陳述の中で、東電は、2006年9月の原子力安全委員会が示した新指針に対応するために、国の専門家機関(地震調査研究推進本部)の長期評価に基づいて、津波対策をする必要性を認識していたと指摘。15・7メートルの津波が来るとの試算をもとに、東電が子会社「東電設計」に、防潮堤の高さの計算や対策を依頼していたとしている。しかし、東電は工事を着工することなく、土木学会に評価を委ねる転換を図ったとした。

また、指定弁護士は、中越沖地震後に東電内に設置された「中越沖地震対策センター」や、勝又会長(当時)も出席する為に「御前会議」と呼ばれていた「中越沖地震対策対応打合せ」を重視。東京電力福島第一原子力発電所をめぐる津波対応についても、3人に報告されていたとなどと指摘した。

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指定弁護士は、勝俣元会長ら3人が出席していた2009年2月11日の会議で、当時原子力設備管理部長だった吉田昌郎元福島第1原発所長が「14メートル程度の津波が来る可能性があるという人がいる」との発言を取り上げ、「遅くともこれ以降は津波対策を取るべきだった」と強調した。

東京第五審査会の議決要旨
http://www.ourplanet-tv.org/files/20150731.pdf

福島原発刑事訴訟支援団
https://shien-dan.org/
福島原発告訴団
http://kokuso-fukusimagenpatu.blogspot.jp


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