福島第一原発事故
2012/03/20 - 08:42

バンダジェフスキー博士が会見〜内部被ばくへ警鐘

 
 
チェルノブイリ原発事故後、ベラルーシ住民の健康被害を研究してきたユーリー・バンダジェフスキー元ゴメリ医科大学長が19日、東京都内で会見し、福島第一原発事故の影響で高い線量が計測されている汚染地域では、全住民を対象に内部被ばく調査を徹底するよう訴えた。
 
バンダジェフスキー博士は、チェルノブイリ原発事故の影響を調べるために、被曝した人体や動物の病理解剖を行い、体内臓器のセシウム137などの放射性同位元素を測定する研究を行ったことで知られ、セシウム137が、心臓をはじめとする重要臓器に影響し、子どもの突然死などを引き起こしていると指摘してきた。
 
博士によると、心筋細胞は分裂しないためセシウムが心臓に蓄積しやすく、心電図の検査で、異常とセシウム蓄積量の因果関係が確認できるとしている。「幼児は体重1キログラム当たり20~30ベクレルでも心臓のリズムを壊してしまう。50ベクレル以上だと突然死の可能性が高くなる。」とデータを示しながら解説した。また妊娠中、胎盤に1キログラム当たり200ベクレル以上のセシウムがあると、コチゾールと呼ばれる重要なホルモンの濃度が下がり、新生児は肺が発達せず突然死につながりうる」としている。
 
また、セシウムは、個々人が遺伝上抱えていながら、表面には発現していなかった因子に働き、出生前、あるいは大人になってから、障害を誘引する働きをすると解説。わずかな、セシウムであっても、人体に取り込むべきではないとの考えを示した。博士によると、原発事故後のベラルーシでは出生率が減る一方で、死亡率があがっており、原発から30キロの地区では若い世代を中心に、人口1000人当たり約30人が死亡した年があり、出生率を大きく上回ったという。
 
博士は、日本国内で現在進められている震災がれきの広域処理に関して、「わずかな汚染であっても、セシウムを含んでいる汚染物質を、クリーンな地域に拡散することは理解できない」と日本政府の方針について強く否定。日本政府が十分の情報の公開を行っていないことについても、疑問を呈した。
 
博士は、1999年、賄賂収賄の容疑で逮捕され、無罪を主張したものの、2001年懲役8年の実刑判決を受けた。しかし、政治的意図による冤罪だとして、海外の多くの人権保護団体がベラルーシ政府に抗議。国際的な人権保護団体であるアムネスティ・インターナショナルなども声明を出して支援をし、刑期は5年間に短縮された。
 

 

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