福島第一原発事故
2011/10/02 - 10:01

福島第1原発から45キロの飯舘でプルトニウム検出

文部科学省は30日、東京電力福島第1原発から約45キロ離れた福島県飯舘村を含む同県内6カ所の土壌から、放射性物質のプルトニウムが検出されたと発表した。原発80キロ圏内の広範囲で放射性物質のストロンチウムも検出され、汚染が広範囲に広がっていることが、改めて裏付けられた。事故後、同原発の敷地外でプルトニウムが検出されたのは、国の調査では初めて。
 
調査は、6月~7月、原発80キロ圏内の100カ所の土壌を採取して行われた。双葉町、浪江町、飯館村の計6地点から今回の事故の影響とみられるプルトニウム238が検出された。また、多くの地点でプルトニウム239、240も検出されたが、事故の影響か特定できないという。
 

  
プルトニウムは、1945年以来、核実験を通じて地球上に約10トンが放出された。この核実験のフォールアウト起源のプルトニウムは、既に地表面の土壌に0.37-3.7 Bq/kg存在すると言われている。このため、文科省は、いずれの地点も、こうした過去の大気圏核実験によって日本に降ったプルトニウムの最大値を下回っており、「健康に影響のあるベレルではない」としている。なお、238に関しては、事故前にほとんど検出されていなかったため、今回検出された238は、福島原発由来のものと分析、プルトニウム239、240も検出されたが、事故の影響か特定できないとしている。
 
検出された最大濃度は、プルトニウム238が土壌1平方メートルあたり4ベクレル(浪江町)、239と240の合計で同15ベクレル(南相馬市)。飯舘村で検出された238は同0・82ベクレルだった。
 
プルトニウムは人類が初めて作り出した放射性核種で、プルトニウムは半減期が極めて長く、α線を放出し、毒性が極めて強いため、呼吸などで体内に入ると強い発がん性を帯びる。プルトニウム239の年摂取限度(1 mSv/年)は、経口摂取で48 μg (11万 Bq) 、呼吸器への吸入では52 ng (120 Bq) である(1 ng(ナノグラム)は 0.000000001 g(グラム))で、わずかな吸引でも発がん性があると言われる。プルトニウム238の半減期は88年、239は2万4000年。
  
東京電力や政府は、これまで、プルトニウムは放射性ヨウ素と比べて重く、拡散しにくいと説明していたが、こうした説明は誤りだった事が明らかになった。
  
79キロの白河ではストロンチウム
 

 
一方、ストロンチウム89は約79キロ離れた同県白河市など半数近い地点で検出。半減期が約50日と短いことからいずれも事故による影響と分析した。最大濃度は同2万2000ベクレル(浪江町)。文科省は事故で放出された放射性セシウムとの分布の違いに注目 しており、ストロンチウムは骨に沈着しやすい特徴があるため、追加調査する方針だ。
  
文部科学省による、プルトニウム、ストロンチウムの 核種分析の結果について 
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/distribution_map_around_FukushimaNPP/…
 

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